不動産を売却した後には、売却益が出た場合に税金が発生します。多くの方が見落としがちなのが、物件を手放したあとに支払わなければならない「譲渡所得税」や「住民税」の存在です。せっかく売却でまとまった資金を得ても、税負担を計算に入れていなければ手元に残る金額が想定より少なくなってしまうこともあります。
本記事では、不動産売却後にかかる代表的な税金の仕組みから、特例を活用して節税する方法までを詳しく解説します。
不動産売却にかかる税金の基本
不動産を売却すると、その売却益に応じて税金が課されます。税金の計算の基準となるのが「譲渡所得」であり、売却価格から取得費や譲渡費用を差し引いた利益が対象です。ここで注意したいのは、売却額すべてに課税されるのではなく、純粋な利益部分に課税されるという点です。
譲渡所得にかかる主な税金は、所得税と住民税です。これらは合算して納める必要があり、合計でおおよそ20%前後が課税されるケースが多くなります。ただし、所有期間や物件の種類によって税率が異なるため、売却前にシミュレーションを行うことが重要です。
譲渡所得税の仕組み
譲渡所得税は、不動産を売却して得られた利益に対して課される税金です。計算の基本式は「譲渡所得=譲渡価格-(取得費+譲渡費用)」となります。取得費には購入時の代金や仲介手数料、登記費用などが含まれ、譲渡費用には売却時の仲介手数料や測量費用などが含まれます。こうした経費を差し引いたうえで残った利益に対して税率が適用されるのです。
税率は所有期間によって変わり、5年以下の短期譲渡所得は約39%、5年超の長期譲渡所得は約20%と、大きな差があります。特に短期譲渡は税負担が重くなるため、売却のタイミングを誤ると手元に残る資金が大きく減ってしまう可能性があります。

住民税の仕組み
不動産売却で利益が出た場合には、譲渡所得に応じた住民税も発生します。住民税は所得税と同じく譲渡所得を基準に計算され、通常は10%程度が課されます。住民税は翌年の6月から納付が始まるため、売却から時間が経過してから請求される点に注意が必要です。
売却で得た資金をすべて使ってしまうと、住民税の支払いに困る事態になりかねません。そのため、売却益が出る場合には税金分をあらかじめ確保しておくことが大切です。
不動産売却時に利用できる特例
不動産売却には、税負担を軽減できるさまざまな特例が用意されています。これらを活用すれば、譲渡所得税や住民税の負担を大きく抑えることが可能です。代表的なものとして「3,000万円特別控除」「買換え特例」「相続不動産の特例」などがあります。
3,000万円特別控除
居住用の不動産を売却した場合、最大で3,000万円までの譲渡所得を控除できる特例があります。
たとえば売却益が2,500万円の場合、この特例を利用すれば課税対象がゼロになり、税金を支払う必要がなくなります。条件としては、売却する物件が自身の居住用であることや、過去に同じ特例を利用していないことなどがあります。
この控除は非常に効果が大きいため、マイホームを売却する際には必ず確認しておきたいポイントです。

買換え特例と相続関連の特例
自宅を売却して新たに住み替える場合には、買換え特例を利用できるケースがあります。これにより、売却益の課税を繰り延べできるため、直ちに税金を支払わずに済むというメリットがあります。ただし、新たに取得する物件の条件や居住年数など、適用には細かいルールがあるため注意が必要です。
また、相続した不動産を売却する場合には「相続税の取得費加算の特例」があります。これは相続時に支払った相続税の一部を取得費に加算できる制度で、結果的に譲渡所得を少なく計算できるため、税負担が軽減されます。相続不動産を売却する際には、この特例の有無を税理士などの専門家に確認すると安心です。
税負担を抑えるためにできること
不動産売却後の税金は金額が大きくなることも多いため、節税対策を意識することが重要です。まずは売却のタイミングを調整し、所有期間が5年を超えてから売却することで長期譲渡の低い税率を適用できる可能性があります。また、3,000万円特別控除をはじめとする各種特例を最大限活用することが大切です。
さらに、譲渡費用を正しく計上することも忘れてはいけません。仲介手数料や測量費、建物の解体費用などは経費として差し引けるため、領収書や契約書をきちんと保管しておくことで課税額を減らせます。
専門家への相談の重要性
不動産売却に伴う税金は制度が複雑であり、所有期間や売却時の状況によって適用できる特例が変わります。自己判断だけでは見落としや計算ミスが生じやすいため、税理士や不動産会社に相談することが賢明です。専門家のアドバイスを受けながら、売却前に資金計画を立てておけば、予想外の出費に悩まされることを防げます。

不動産売却後の税金を理解して賢く対策
不動産を売却した後には、譲渡所得税や住民税といった税金が発生します。課税対象は売却益に対してであり、所有期間によって税率が大きく変わる点に注意が必要です。しかし、3,000万円特別控除や買換え特例、相続税の取得費加算などの制度を活用すれば、税負担を大きく抑えることができます。
売却益を最大限手元に残すためには、正しい知識と準備が欠かせません。売却を検討している方は、事前に税金の仕組みを理解し、専門家に相談しながら最適な方法を選ぶことをおすすめします。
